こちらも、これといった理由もなくタイトル読みした本ですが、面白かったので紹介。
仕事における人間の才能を「天才」、「秀才」、「凡人」の3つのタイプに分類した上で、それぞれが持つ才能(特性)やタイプ同士の相性などが、ストーリー仕立てで語られていきます。あなたはどのタイプ?
新しいことにチャレンジしていて、以下のようなことを感じている方は目から鱗かも
- どうして私は〇〇さんのようにできないのだろう
- どうしてあの人は、あんな言動をするのだろう
- やろうとしていることが誰にも理解されない。その理由がわからない
私Geroge(父)は、都内在住のサラリーマン。通勤電車のほぼ全てを読書に費やして、年間100冊程度の本を読んでいます(プロフィール)。
\ それでは、行ってみましょう
- タイトル:天才を殺す凡人
- 著者 :北野 唯我
- 出版年 :2019年
- 出版社 :日本経済新聞社
- 評価 :⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️(4)
この世界は天才と秀才と凡人で成り立っている
世の中には、大きく天才と秀才と凡人がいて、本書の中では以下のように分類されています。
天才
- 創造性で評価する
- アートを重視
- よくも悪くも世の中を前進させる
- 天才にしか見えない世界が見えている
- 説明が苦手。本当は、凡人に理解してほしい
- 飽きが苦痛でしょうがない
秀才
- 再現性(論理)で評価する
- データやサイエンスを重視
- 天才に対し妬みと憧れの相反する感情を持つ
- 心の中では凡人を見下している
凡人
- 共感性で評価する
- 天才に対しては共感できればファンになる。共感できなければ排斥しようとする
- 秀才のことを天才と勘違いしがち
この3タイプについて、優劣や良し悪しの観点ではなく、3者3様の才能(=特性)が絡み合って世の中が動いていることを読者が段階的に理解できるよう、架空の物語で解説されています。
ネタバレになっちゃうのでストーリーの中身には踏み込まず、印象に残った点を紹介します
僕は天才です。世界が見えています
凡人が天才を殺すことがある理由
天才は、「世界を良くするという意味で創造的か」という評価軸をとる。一方、凡人は、「その人や考えに対して、共感できるか」となるため、評価軸が根本的に異なる。
軸が違うだけであれば、話が噛み合わない程度のことだけど、世の中の凡人の数は天才を圧倒的に凌駕している。
このため、民主主義の基本原則である「多数決」が天才を殺してしまうことがある。
天才が見えている世界がわからない凡人は、成果を出す前の天才を理解できことがほとんど
天才のアイディアを測る物差しは、凡人の反発がどの程度大きいか、らしいよ
日本の大企業でイノベーションで起きない理由
日本の大企業でイノベーションが起きないと言われて久しいですが、「評価やシステムが古い」、「年功序列」、「ガラパゴス」、「社員の能力開発」、など様々な角度から議論されていると思います。
が、本書の視点は個人的にはとても新鮮。ざっくりとこんな感じです。
- 戦後や高度成長期には創造性を司る天才が会社を引っ張ってきた
- 天才が歳をとり引退し、再現性を重視する秀才に引き継がれた
- 秀才はサイエンス(データや数値)を使いこなせると誤解してしまう(KPI管理もこの一種)
- 天才の創造性溢れるアイディアは既存の価値観(KPI)では測ることができないので、秀才経営者の前ではなかったものとされてしまう
最近は、既存の価値観(KPI)で測ることができない新規事業を開発する部隊を、そっくりそのまま別会社に移管した利する会社もありますよね
アート(直感)を重視する天才は、サイエンス(論理)を重視する秀才のもとで輝くことはできないのだ
天才を活かすために凡人が果たせる役割とは
大きな組織になればなるほど、活躍しにくい日本の天才。凡人はどうすれば良いのか。
実は、天才、秀才、凡人の区分は絶対的なものではなく、天才の創造性をもった凡人(本書では「病める天才」と呼称されている)がいて、両者の橋渡し役になれる可能性がある。
個々人のレベルで考えた場合、天才の価値観に寄り添い、ファンとして共感の輪を拡げることでサポートする。具体的には、大企業であれば説明下手な天才に代わり、各種社内調整を行う根回しおじさんになるなどが1つの解。
これも共感力のある凡人だからこそできる立派な役割。なぜなら天才はできないことだから。
\ 最後にひとこと /
「イノベーションの重要性が叫ばれている中で、天才を重宝するべき」という前提に立っていることを差し引いても、本書が与えてくれる視点はとても新鮮でした。
また、度を越した秀才(サイレントキラー)が天才を殺す場面なんかも出てきてハラハラドキドキなストーリー自体も面白いので、ぜひ手に取って読んでみてください。一読の価値ありです。
令和版「三人寄れば文殊の知恵」…
あまり良い締めが思いつかずにごめんなさい
最後まで読んでくれて、ありがとうございました〜