マーケティングの基礎を勉強するのに最適な本は?
と聞かれたら、間違いなくこちらの本「ドリルを売るなら穴を売れ」がおすすめ。
この本、マーケティング理論の説明と並行して、とあるイタリアレストランの再生物語が進行していくので、初学者にとって本当にわかりやすいんです。

でもさ、どうしてマーケティングの本なんて読みだしたの?



気まぐれです
(マーキングと勘違いしたことは内緒)
この記事を書いているGeroge(父)は、都内在住のサラリーマン。通勤電車のほぼ全てを読書に全振り。ビジネス書を中心に年間100冊以上の本を読んでいます(プロフィール)。
- 老若男女問わず、マーケティングに興味を持った方
- 本格的なマーケティング理論の本を読んで挫折した方
- モノやサービスを売っている方
\ それでは、行ってみましょう /
マーケティングで抑えるべき基礎理論4つ
マーケティングを学ぶうえで最低限外せないのが、次の4つの基礎理論。すなわち、「ベネフィット」、「セグメンテーションとターゲティング」、「差別化」、「4P」です。
❶ベネフィット
ベネフィットとは、一言でいえば「顧客にとっての価値」のこと。
人は商品そのものを買っているのではなく、その商品を購入すれば自らの欲求(ニーズ)を満たすことができるから買っている。モノではなく、価値を買っています。
また、ベネフィットには「機能的ベネフィット」と「感情的ベネフィット」の2つに大別できます。モノを売るときは顧客のベネフィットを正確に捉えるところからスタートです。
商品 | 機能的ベネフィット | 情緒的ベネフィット |
---|---|---|
自動車 | 移動手段 | プライベート空間、ステータス |
ペット | 癒しとストレスの解消 | ペットを通じた友人関係 |
遊園地 | アトラクション | 家族や友人との思い出 |
上記は、あくまでGeorge(父)にとってのベネフィット。絶対的な正解というものはなく、その商品を買った人が求めているものがそれぞれ正解。
ただ、ここを大きく外すと“良いものを作っているのに売れない“ということになってしまいます。
ベネフィットはマーケティング理論全体を通じて土台となる一番大事な考え方。



日本の携帯電話が多機能と高性能ばかりを追求しちゃって、顧客のベネフィットに寄り添わなかったことが世界的なシェアを失った1つの要因と言われていますね



顧客によってベネフィットが違っていて、その全部が正解だとしたら、モノを売るにはどうすればいいの?
そのためには、顧客のセグメンテーションとターゲティングという考え方が重要になります。
❷セグメンテーションとターゲティング
顧客を分けることをセグメンテーション、分けられた顧客群がセグメント。そして、どのセグメントにモノを売るか狙いを定めた顧客をターゲットといいます。要するに、顧客を意図的に「分ける」作業です。
なぜ、この作業が必要なのでしょうか。
それは、顧客がモノを買う動機となるベネフィットは、その顧客の属性や状況によって異なるから。
同じ30代の女性でも、仕事をされていてる独身女性と専業主婦として家事や子育てをされている女性では、ベネフィットが明らかに異なります。
1つの商品で、全ての顧客のベネフィットを満たせれば良いですが、そこを狙いにいくと、何か1つのベネフィットに特化した商品に負けてしまうというのがよくあるケース。



満遍なく揃っている幕内弁当より、焼肉弁当が好き。
なんでもできるスマホよりもガラケー派です



ガラケー派の方には、スマホの機能それ自体を訴求するのではなく、スマホによって節約できる時間を訴求していくと良いかも
ターゲティングについては、ディズニーランドを運営するオリエンタルランドの戦略を見てもわかりやすいです。
ファミリー向けのディズニーランド、ややアダルト向けのディズニーシーと、しっかりと顧客ターゲットを定めています。
ディズニーランドは、ファミリー層や女性客が多いため、スリリングなアトラクションは少ないですし、女性ウケするパレードなどのイベントが多いです。シーは、大人向けなので少し落ち着いた雰囲気、酒類なんかの販売もしています。
❸差別化
顧客ベネフィットの理解とターゲティングの次にやるべきことは差別化。これだけモノやサービスがありふれていると、特徴がないものや競争力がないものは売れないですよね。特にインターネットが普及して以降はこれが顕著で、一部のモノ・サービスに人気が集中する傾向に。
競合に打ち勝ち、顧客に選んでもらうにはその商品でなければならない理由(=価値)が必要なんです。
こちらの本では、差別化を「手軽軸」、「商品軸」、「密着軸」の3つの切り口で考えることを推奨しています。
軸 | 考え | 例 |
---|---|---|
手軽軸 | 安くて、手軽で、便利 | ファストフード、牛丼チェーンなど |
商品軸 | 高品質、とにかく良いもの | 高級フレンチ、料亭 |
密着軸 | オーダーメイド、自由度の高さ | 馴染みのお店、充実したカスタマーサービス |
この3つの軸、どれか1つが飛び抜けていれば十分かと言えばそうでもないのが難しいところ。顧客ニーズは多様化、複雑化してきているので、この3つを複合的に組み合わせた商品設計が必要になってきます。
少なくとも、手軽軸は100点だけど、商品軸、密着実が平均点を下回っているようだとお客様に選んでいただくことはできないのです。



ちなみに、このブログの差別化戦略はどんな感じ?



…
❹4P
さいごに、顧客に価値を提供しその対価としてお金をもらうための具体的手段を検討する際のフレームワークが4Pです。
4つのP | 内容 | 本屋で考えると… |
---|---|---|
Product (製品・サービス) | これを通じて顧客に 価値がもたらされる | 流行に応じた本の品揃え 選書サービス etc… |
Promotion (広告・販促) | 製品・サービスの 価値を顧客に伝える | 作家とコラボしたイベント開催 SNS・ブログ、店員さんおすすめ |
Place (流通・チャネル) | 物理的に顧客に 価値を伝える経路 | 立地、オンライン販売、 電子書籍 |
Price (価格) | 集金することで会社に価値の 対価がもたらされる | 本は定価販売が一般的 |



4Pってモノやサービスを売ろうすれば、必ず考えなければならないあたり前のことじゃない?



あたり前だよね。顧客ベネフィット、ターゲティング、差別化戦略を明確にして、これとしっかりと噛み合うような4Pを構築することが良いマーケティング戦略のポイントだよ
マーケティングで重要なのは、全体を通じた「一貫性(ストーリー)」です
「安い、うまい、早い」が売りの牛丼チェーンが高級百貨店の中で1杯3000円の牛丼を提供したら、一時的に話題になることがあるかもしれませんが、長い目で見れば失敗すると思います。
ファミリー層や女性がメイン顧客のディズニーランドが、富士急ハイランド並みのジェットコースターや怖〜いお化け屋敷を用意しても成功は難しいのではないでしょうか。
ドラマ化できそうなストーリー
マーケティング初学者が学ぶべき基礎的な理論を解説した本はたくさんあると思いますが、
本書では、潰れそうなイタリアンレストランを再生させるために奔走するストーリーがセットになっている点が特徴。おもしろさも加わって理解が進みます。
本当の顧客ベネフィットを理解するためには、アンケートだけでは不十分で、現場に足を運んで実際のお客様の様子を観察する。イタリアンレストランなのに本場のイタリア料理を知らないなどは言語道断。血の通ったマーケティング戦略を構築するために必要なことは何かということが語られています。



ストーリー編はテレビドラマにしても流行りそうな面白さ。主人公の「うれたまちゃん」に自己投影してしまったよ



ストーリ編だけを読んでもマーケティングのことがよくわかるから、中学生が読んでも、勉強になると思うよ
まとめ
マーケティングに興味を持った初学者に、どの本がおすすめですか?と問われれば、こちらの本をおすすめします。
2006年出版の少し古い本ではあるものの、内容は奇を照らさず、マーケティングで押さえておきたい最低限の基礎理論がわかりやすく、面白く学べるすばらしい本です。気になった方は、是非、手に取って読んでみてください。
マーケティングとは結局のところ、「顧客の気持ちになって考える」ことが一番大事なんだと気づかせてくれると思いますよ。



最後まで読んでくれて、ありがとうございました〜


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