知る人ぞ知るベストセラー、「職業日記シリーズ」をご存知でしょうか。
酸いも甘いも噛み分けた、とある職業のOB(一部現役職員?)が業界の実情を赤裸々に綴ったシリーズものです。
私が職業日記シリーズが好きになったきっかけは、「メガバンク銀行員のぐだぐだ日記」。
某メガバンクの銀行員が自らのキャリアの悲哀を綴っているのですが、
私もメガバンクで7年勤務していたこともあり、ハマっちゃいました。
多少の脚色はあると思いますが、このシリーズは実話だと思います。
その後、本シリーズを読み進めていく中で、特に面白かったものを紹介したいと思います(順次更新予定)。
働く中高年のリアルがここにある……
- 就職活動中の学生さん
- 前から気になるあの職業の実態を知りたい方
- 自分の子供に仕事の厳しさを知ってもらいたい親御さん
\ それでは、いってみましょう
三五館シンシャの職業日記シリーズ
「職業日記シリーズ」の出版元は、(株)三五館シンシャ。
2019年に出版された「交通誘導員ヨレヨレ日記」が7万部を超えるベストセラーとなったことを皮切りに、
2024年2月現在では19冊、シリーズ累計発行部数は40万部以上に及ぶ人気シリーズです(2022年4月時点、ネット調べ)
今は全く更新されていませんが、会社のHPにて、設立経緯などが赤裸々に綴られています。
もともとあった「三五館」という出版社が倒産した後、社員だった中野さんが1人で設立したのが「三五館シンシャ」。
ホームページや各種インタビュー記事を拝見すると、中野さんが1人で切り盛りしているようです。
職業日記シリーズ おすすめランキングトップ5
第7位 メーター健診員 テゲテゲ日記 著:川島徹
電気使用量の検針員さんのお話。
検針員として10年働いた著者の日常的なエピソードがいつもの悲哀感漂う調子で綴られています。
検針作業は1件40円。
基本的に業務委託契約であり、世の中のサラリーマンが有する社会的なセーフティネットはほぼないに等しく、自営業といって良いレベル。
1件40円は、本ブログのアフィリエイトで本を1冊購入していただいた際に発生する報酬と一緒ですw
単純そうな仕事だしストレスなさそうと想像しがちですが、いやはや……
雨の日も風の日もノルマをこなし、たまに住居人や飼っているペットとのトラブル。
誤検針をすれば最悪クビになりかねないプレッシャーなど、しんどいエピソードが赤裸々に綴られています。
著者の川島さんは元外資系企業に勤めて年収800万円。諸事情あって退職した後の職業が検針員という職業でした。
お金を稼ぐのは本当に難しいことなのだと痛感しました。
この本を読んで、仕事の目的はまずもって「食べるため」ということを思い出しました
40歳を過ぎて、これからの「キャリア」や「仕事のやりがい」など、数々の不平不満はあるけれど、そんなこと言ってられないよなと気づかせてた1冊です。
本の中で著者の仕事観が記されています。
私は慎ましい生活で十分である。
人生には少しのお金と少しの生活道具があれば十分なように思う。
仕事は続けていきたい。毎日遊んで暮らしていたくはない。
仕事の前の緊張感、終わったときの開放感、それが生活のリズムであり、
生きていることを実感できるものの一つだ
引用:メーター検針員 テゲテゲ日記
「あまり期待しない」ということも1つの考え方かも。
第6位 コールセンターもしもし日記
学生時代、1週間ほどコールセンターのアルバイトをしたことがあります。
詳細は忘れてしまいましたが、顧客からのQA対応というよりは営業系の仕事(こちらから電話発信)でした。
PC画面に次から次へと顧客情報が表示され、ひたすら電話をかけ続けるという作業。
まだスマートフォンも普及していない時代だったからか、
意外と電話が繋がった記憶がありますが、すぐに切られてしまうことがほとんど。
1日中座りっぱなしで、発信ノルマもあるため、結構辛い作業でしたね。
本書のように、顧客からの理不尽な怒りやストレスの吐口にされるようなことはなかったので、今思えばまだマシだったのかもしれない
本書では、スマートフォン料金を滞納している顧客とのやり取りを初め、
様々なクレームや恫喝エピソードなどが生々しく綴られていて、様々な人間模様を想像して読むと面白いです。
また、著者の吉川徹さんの訳あり半生は、
読んでいてしんどくなってしまう場面もありましたが、何事も前向きに捉えている様子に最後は安堵しました。
クレーム対応。
誰かがやらなければならない仕事ですが、本当に辛い仕事です
どのような仕事でも当てはまると思いますが、
コールセンターという仕事では、ある程度割り切りつつの傾聴力や相手の気持ちを理解する共感力が求められますね。
第5位 電通マン ぼろぼろ日記 著:福永耕太郎
日本の広告代理店御三家といば、電通、博報堂、ADK。
実は、George(父)はすべての会社さんとお付き合いした経験があります。
チラシやポスターの作成、発表イベントからTVCMまで。
あくまで私がお付き合いしてきた範囲内ですが、ADKの人は、「無骨、不器用、憎めない」。
博報堂の人は少し「上品でおとなしめ。でも少し悪そう」。
電通の人は、「勢いありすぎるモーレツ社員。怖い、仕事早すぎ」、といったイメージがあります。
本書の大層は昭和の話だと思いますが、なんでもありな感じが懐かしいです……。
電通に限らず、なんでもありな時代というがありましたなぁー。
それにしても、管理職手前で年収1,900万円(残業含む)はさすが天下の電通。
でも主人公の福永さんは辛そうな人生を歩んでおられる……(なんと最後は破産)
「お金」って「幸せ」の必要条件ではあるけれど、十分条件ではない、と痛感。
面白くて、4時間で一気読みしちゃいました。
いつも思うけど、この職業日記シリーズは、就活生の皆さんは絶対に読んだ方が良いですねー
第4位 タクシードライべー ぐるぐる日記 著:内田正治
結構身近だけど、その実態はよくわからないタクシードライバーという仕事。
前から気になっていた職業の1つです。
1つ1つの乗車に物語があります。
文字通りヤクザなお客、乗車代金を払わない人、などなど……
乗車売上のことを営収というようですが、これが5万円以上にならないと帰れない。
完全に体力勝負なお仕事です。
著者の内田さんがタクシードライバーになった経緯も含め、かなりご苦労された印象を受けますが、全体的に前向きなので、読んでいて不快感はなく、むしろ生きるための勇気をいただける1冊です。
苦労をかけた母親を支え、自分の息子を社会人まで責任を持って育て上げた著者の生き様はかっこいいです。
タクシーに乗ったお客様に、専属のドライバーにならないかとスカウトされるも、
タクシードライバーとしてのプライドからお断りするエピソードが印象的でした。
第3位 出版翻訳家になんてなるんじゃなかった日記
翻訳家を夢見た一人の青年が、必死の努力で夢を掴み取り、売れっ子になり、トラブルにあい、
そして夢であった業界を自ら去るまでの物語。
こちらは職業日記シリーズのスピンオフのようですが、安定の面白さ。
著者の宮崎伸治さんは、全世界で4000万部、日本国内でも240万部を売り上げる大ベストセラーとなったスティーブン・R・コヴィー博士が著した『7つの習慣』の続編、「7つの習慣 最優先事項」を翻訳した文筆家。
本書を読んでまずびっくりしたのは、「出版業界が抱える闇」について。
出版不況とはいえ、ここまで約束を守らない世界もあるのか……
とちょっとびっくり
出版業界の闇を描く本を、三五シンシャという出版社が出版するという点も個人的にはツボでした。
次に、「翻訳家という職業で食べていくことの難しさ」。
著者は60冊以上の翻訳書の出版に携わり、何冊かはベストセラーにもなっている一時は売れっ子と呼ばれるまでになった翻訳家ですが、それでも収入は安定せず、苦しい生活が伺えました。
好きを仕事にするのはとても素晴らしいことですが、難しい……
著者自身も、翻訳家は素晴らしい職業だが、これを目指すのは、経済的な自由や基盤を得てからが良いとおっしゃっています
夢を仕事にした物語であれば、「バッタを倒しにアフリカへ」もおすすめだよ
そして本書のハイライトは終盤にやってきます。
誠意を見せることなく平然と約束を保護にする出版社と著者との「法廷闘争」は読み応え抜群です。
出版業界を志している就活生が読めば、何かと参考になると思います。
第2位 住宅営業マン ペコペコ日記
こちらは、ローコストハウスメーカーの営業実態がわかる本です。
タマゴホーム……タマホーム
15年ほど前に読んで今でも記憶に残っている、不動産業界の闇をリアルに描いた「狭小邸宅」(著者:新庄耕 第36回すばる文学賞受賞作)を思い出しますが、本書も負けてないです。
いかに不動産業界がブラックなのかがわかります。
少しテクニック論的な部分もありますが、営業職の方は本書を読んで何かした感じるところがあるのではないでしょうか。
安い固定給に、売買契約の数%が歩合で入る方式……頑張り次第で1000万円も可能とありますがその実態は…….
上席の指示で顧客の住宅ローン審査を工面するために、営業マンが数十万円を立替えるエピソードとか……
過去の話とはいえ、コンプライアンス意識ゼロですww
昔を懐かしむ意味でもおすすめです。
不動産業界と銀行業界はどうしてこんなに面白いんですかね?特定の業界や職業をテーマにしたドラマや小説の鉄板です。
馴染みがあるようでなく、ブラックな感じが興味をそそるのでしょうか……
第1位 メガバンク銀行員 ぐたぐた日記
「銀行は人事が全て」と言われますが、それがよくわかるエピソードがたくさん散りばめられています。
M銀行の従業員は30,000万人。エリートと呼ばれているのはほんの一部で、
多くが本書の著者、目黒さんのような銀行員なんだろうなと思う。
私も実は、過去にメガバンクに勤務していたことがありますが、その経験からいっても、
本書の内容は「あーこんなことあったよな」という感覚です。
若いうちから会社の社長さんと会話することができ、
さまざまな事業の実態を知ることができる職業は銀行を除いて存在しない気がしているので、
非常にやりがいのある職業だと今でも思っています。
銀行に勤めると、企業を「ヒト、モノ、カネ」の3つの観点で分析するノウハウをたたききこまれるのですが、
銀行はサービス業なので、「ヒトが一番大事な経営資源」になります。
だから、銀行は「人事がすべて」なんですね。。。
最近はあまり人気がないのかもしれませんが、最初の職業が銀行員というのは正直悪くないと思います
また銀行員は転勤族です。
従業員が3万人もいると、同じ人と再度仕事をすること機会はほとんどないため、
異動の際なんかは感極まって泣いてしまう方もいましたねぇ。
その際に、若手行員が門出を祝って応援団長みたいに大声でエールを送るという文化もありました。
地方へ転勤になる先輩のために、日曜日に新幹線のホームでエールを送ったこともあったなぁ…恥ずかしかった。
今だと考えられないですw
まとめ
今回は、知る人ぞ知るベストセラーシリーズ、三五シンシャさんの職業日記シリーズの紹介でした。
本書の特徴をまとめると、
- 気になる職業や業界の実態がわかる(就活生や転職検討中の方は読むと参考になりそう)
- 中高年の哀しくも現実が、ある意味自分のこれからを考えるための指針となる
- 1冊、3時間程度でサクッと読める
といった感じ。
まだ読めていない本も何冊かあるので、面白いと思った本は、都度記事を更新していきたいと思います。
あまりこの手のシリーズ本は見当たらないので、今後も陰ながら応援していきたいです。
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最後まで読んでくれて、ありがとうございました〜。
記事を気に入ってくれたら、SNS等で拡散していただけると大変嬉しいです
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