著者のトニー・ファデルをご存知でしょうか?
あの大ヒットしたiPodの開発責任者をつとめ、初代iPhoneの開発チームを率いたすごい人。
また、Appleを離れた後は、NEST(ネスト)という会社を立ち上げサーモスタットを再発明。これを脅威に感じたGoogleに32億ドルで会社を買収されるなどの伝説の持ち主。
サーモスタットってなに?
部屋ごとにエアコンが設置してある日本ではなじみが薄いけど、家庭内の空調設備を一括管理するIoT機器のこと。欧米では多くの家庭に導入されています
そんな伝説のトニー・ファデルが自らの経験や体験をもとにしたアドバイス等を集約し、これから社会に出る人や新しいキャリアに踏み出そうとしている人向けに書いたのが指南書が本書。
あらゆるビジネスパーソンに役立つ、価値あるプロダクトを生み出すためのヒントが詰まった「メンター本」として世界中で売れに売れまくっている本です(Amazonの評価も脅威の4.9)。
アドバイスもさることながら、AppleやGoogleの舞台裏が赤裸々に語られているので小説のように読みやすいです。一読の価値あり
- これから社会に出て成長したい若者や、新たなキャリアに踏み出そうと考えている方
- 価値あるプロダクトを生み出すためのヒントが知りたい方
- AppleやGoogleなど、ビッグテックやシリコンバレーの舞台裏に興味がある方
この記事を書いているGeroge(父)は、都内在住のサラリーマン。通勤電車のほぼ全てを読書に費やし、年間100冊程度の本を読んでいます(プロフィール)。また、家庭菜園も10年くらい楽しんでいます。
\ それでは、いってみましょう
いつものとおり、印象を残ったところを紹介していきます
20代は行動して失敗し、そこから学ぶ
20代の間はあなたの選択肢は大体間違っていて、入った会社、あるいは立ち上げた会社は失敗すると思った方がいい。社会人になりたての頃は、自分の夢が儚く散る様を眺め、その亡骸からできるだけ多くを学ぶことが大切。行動し、失敗し、そこから学ぶ。そうすれば結果はついてくる
BUILD 著者:トニーファデル
「若いうちは、たえず行動し、失敗し、学ぶのだ」。耳にタコができるくらい聞いたよ、と感じる方も多いのではないでしょうか。
学校でもよく先生が言ってるなぁ
しかし、トニーファデルがいうと説得力が違います。
AppleでiPodの開発に携わる前に知る人ぞ知るシリコンバレーのスタートアップ、ゼネラルマジックや、フィリプスでiPhonの原型ともなった時代の最先端をいくプロダクトを開発しながら、そのどれもが期待通りに販売できず失敗。
機能にフォーカスしすぎたことにより、開発中のプロダクトが「顧客のどんな課題やニーズを解決するのか?」の観点が抜け落ちてしまった、というのが失敗から学んだこと。
後のAppleでの開発や、ネスト社でのサーモスタットの開発にで活かされる重要な要素だったのです。
顧客のニーズやウォンツに着目したマーケティングアプローチについては、こちらの本が参考になるよ(【書評No.15】ジョブ理論 「人はなぜそれを買うのか」を解き明かす)
この失敗を活かしたエピソードとして、iPodをリリースするのと同時に、なぜ、音楽のダウンロードサイトであるiThunsをリリースをしなかったのか?という話が印象的。
顧客に、CDからデジタル音源(MP3)にジャンプしてもらうだけでも大変なのに、ダウンロードサイトまで登場させてはついて来れなくなってしまうと考え、段階的なリリースとしたそうです
ゼネラルマジック時代に、10年先の顧客のニーズを先取りしたのに失敗したことを踏まえ、顧客の気持ちに寄り沿った緻密な戦略だったんだね
機能ではなく顧客の声にフォーカスするには?
プロダクト作りに本気になればなるほど、知らぬ間に機能やデザインばかりに気を取られてしまい、顧客のニーズやウォンツから離れていってしまうことが多い。
これが典型的な失敗パターンであることを知っているトニー・ファデルのお決まりの問いかけがこちら。
「君(僕)が解決しようとしている問題を、このハードウェアを使わずに解決するにはどうしたらよいか?」
プロダクト開発に臨む際は、たえずこの視点を持っておく必要があるといっています。自己満足に陥らず、顧客にとっての真の価値と向き合うことが大事なんですね。
あのスティーブ・ジョブズも「なんらかのU X(顧客体験)を実現するのに絶対的に必要でないハードウェアは存在するべきではない」と言っていたそうです
何を作るかも大事だが、誰と作るかが重要
トニー・ファデルはシリコンバレーのスタートアップから大企業において、エンジニアからマネージャー、最後はCEOまで経験した人物です。
そんなファデルがそれぞれの立場で大事にすべきことのヒントを語っている点も本書の面白いところ。
特に、組織が大きくなるにつれてチームアップやコミュニケーションが困難になっていく様が生々しく紹介されています。
チームが大きくなるにつれてメンバー1人1人は専門化していかなければならないし、リーダーやマネージャーというポジションが不可欠になってきます。
どんなに良いプロダクトを作っていても、組織政治に巻き込まれて十分な協力が得られなかったり、最悪の場合足を引っ張られる可能性もあります。
採用やチームアップに苦心してきた多数の経験を有しているトニー・ファデルの、「何を作るかも大事だが、それ以上に誰と作るかが重要である」との言葉には大きな重みを感じました。
まとめ
シリコンバレーで30年以上にも及ぶキャリアをスティーブ・ジョブズなどの偉人と共に歩んできたトニー・ファデル。
本書では、ファデルの激動の体験をもとに様々なアドバイスが展開されるのですが、けっして奇を照らすものとはなっておらず、とても人情味にあふれた内容になっていることも特徴の1つ。
また、AppleやGoogleをはじめとしたシリコンバレー企業の裏側も赤裸々に描かれているので、大変興味深く一気に読み進めることができますし、何より、心が熱くなります(ちなみに500ページ近い大ボリュームです)。
これから新しいことにチャレンジしたい人や、ものづくりに興味がある方は読んで損のないおすすめの一冊だと思います。
ファデルがこれまでに出会い、抵抗勢力となってきた「クズ(な人物)」のことも考察されていて、自分のような企業内で戦うサラリーマンにも参考になります。ただ、最後にはそんなクズ(な人)にも感謝している点が、さすがトニー・ファデル。器が違う
最後まで読んでくれて、ありがとうございました〜。
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