今回は、「言葉」と「共感」をテーマにした「言葉のズレと共感幻想」という本を紹介したいと思います。
「共感」というものは、所詮自己満足の産物であり、個人の頭の中にある「幻想」なのではないか?
というのが本書を貫く仮設。
「宇宙兄弟」や「ドラゴン桜」などの大ヒット作を手掛けてきた編集者の佐渡島さんと、
「具体と抽象」で有名な細谷さんが対談形式で議論していきます。
「共感」。言い換えると「他人とわかり合う」ということですが、本書を読むと多くのことを考えさせられると思います。
SNSの「いいね」の正体は果たして「共感」なのか……
普段何気なく使っている「言葉」を見直す良いきっかけにもなるかも
この記事を書いているGeroge(父)は、都内在住のごく一般的なサラリーマン(管理職)。通勤電車のほぼ全てを読書に費やし、ビジネス書を中心に年間100冊程度の本を読んでいます。(プロフィール)。
- 「共感」の正体を知りたい方
- 他者とのコミュニケーションに難しさや、寂しさを感じている方
- 佐渡島さんと細谷さんのファン
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会話は、猿の毛づくろいのようなもの
現代社会にとってなくてはならないコミュケーションツールとなった「SNS」。
X(旧Twitter)をはじめ、Instagram、Facebook、TikTok、LINEなどなど。
今では対面で会話しているよりもSNSを利用している時間の方が長いという人もいますね。
コロナ以降、仕事もリモート勤務だったり、社内のコミュニケーションはEメールやビジネスチャットがメイン。本当対面で会話することって減りました
一般的なSNSの機能の特徴に、投稿者に対する「いいね❤️」があります。
他者から承認されたいとする欲求を満たす機能の1つで、これがSNSの爆発的な普及につながっている機能で、
本当はただの条件反射なのに相手からの「共感」を得られているような「幻想」を簡単に抱かせることができちゃいます。
わかりやすいのでSNSを引き合いに出していますが、普段の会話も同じようなもの。
たくさん会話して、お互いの考えを理解して納得したようで本当は「何かがズレている」……
こんな感じのやりとりに子供の頃から違和感を感じつつけている著者の佐渡島さんの比喩がとても印象的でした。
それは、
これには、個人的にも妙に納得。
会話は、「仲良くなるための手段に過ぎない」、「本当の言葉の意味を交換しているわけではない」、
「違うことを言っているのに、そうだよねー、とか簡単に言っている」
私も、いろいろと会話して「共感」して結論の至ったなと感じたことが、数日経つとお互い振り出しに戻っていて、「え!?」と思うことがよくありますね
会話って難しいよね
共感は幻想に過ぎない
なんで、こんなに会話して、「共感」することが難しいのか。
ここで、細谷さんがまた、鋭い指摘……
たとえ、「共感できる!」と感じても、それは勘違いに過ぎないのではないか…
その原因として、話す人によって異なる「具体と抽象」レベルの違いです。
議論が噛み合わない時は、お互いの具体・抽象レベルを確認する。
この辺りは、以下の記事で細谷さんの代表作「具体と抽象」の内容を紹介しているので読んでみてください。
そして、もう1つが「言葉のズレ」です。
同じ言葉でも、受け手にとっての意味が異なるものがたくさんあるということで、
これを意識しない限り、「共感を得ることはできない」。
言葉のズレを確認するための可視化ツール ダブリング
具体と抽象のレベルがあっているのに、なぜかうまく会話ができない、なんだか議論が噛み合わない、
時に疑うべきが、「言葉のズレ」
これを簡単に可視化できてしまうツールを細谷さんが紹介してくれています。
そのツールの名は「ダブリング」。
例えば、「成功」と「失敗」という2つの言葉を2つの円の「重なり」と「大きさ」によって表現したものです。
あなたの捉え方はどちらでしょうか?
「成功」の反対が「失敗」と捉えている人はこちら。
成功と失敗が全く重ならない。
失敗するか成功するか!?一か八か。
一方、「失敗は、成功につながる過程の一部である」と捉えている人はこちらの図になります。
「失敗は成功のもと」っていう考え方だね!
どちらが正解ということではなく、同じ、「成功」と「失敗」でも、
人によってこれだけ大きく解釈や感じ方が異なると、議論は噛み合わないし、共感することも難しいですよね……
ちなみに、「失敗」が「成功」の一部だとした場合、「成功」や「失敗」の対義語はなんなのかというと、
「何もしない」ということになりそうです。
この2つの円を意識して考えてみると、完全な反対語って左右対称であることがわかるのですが、
折りたたむとドンピシャで重なるんです。
自分の場合、これを知ったことで、「楽しい」と「苦しい」の組み合わせだったりも、
結局一緒だったり紙一重のことなんだよな、なんて思うようになりました。
仕事で「苦しかった」ことが、思い起こせば「楽しかった」、みたいな。
他にも、Amazonの口コミで「5」の評価をつける人と「1」の評価をつける人が実は似たタイプの人だったり、
「嫌いな人への仕返し」は、「復讐すること」ではなくて、「無関心を貫くこと」だったりと、
この考え方を応用すると色々拡張できる気がします。
目から鱗な考えでした。細谷さんのNOTEの記事がとてもわかりやすいので、興味がある方は確認してみてください。
考え方の幅が広がる気がしますー
まとめ
本書を読んで、普段のコミュニケーションや議論がいかに「あやういものか」ということが身にしみてわかりました。
同じ言語(Language)を話し、同じ言葉(word)を使っていたとしても、当たり前のように解釈にはズレが生じるんですよね。
とはいえ、「人と人は結局のところ分かり合えないのだから、コミュニケーションなんて無意味さ」、
などとニヒルに構えていても生きづらいだけなので、
積極的なコミュニケーションを行いながら、その結果に対しては過度な期待をしない、という姿勢がベストかも。
他にも、佐渡島さんと細谷さんの含蓄溢れた思考に触れることができる1冊になっています。
最後まで読んでくれて、ありがとうございました〜。
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