今回は、マーケティング関係のこちらの本「データ・ドリブン・マーケティング」(マーク・ジェフリー)。
2011年のアメリカ最優秀マーケティング・ブックであり、あのアマゾン・ドットコムの創業者ジェフ・ベゾスも愛読するという有名な本です。
そして、私にとっては2017年に邦訳されたあと、すぐに購入したのに6年近く積読になっていた本でありますw
積読が解消すると、良いことをしたような気分になってスッキリです
マーケティング業界は変化が激しいため、あまり期待せず読み進めたのですが“良書”でした。
世の中、マーケティング理論を解説する本は数多くありますが、本書は、具体的なデータ活用と効果測定のための指標について解説している点が特徴です。
米国企業が中心とはなりますが、20社以上の具体的な事例、指標を活用したフレームワークが豊富に紹介されており、実務に活用できそうなところもありがたいです。
著者のマーク・ジェフリーさんは、アメリカのフォーチュン1000社のうち252社のマーケティング・マネジメントを調査したコンサルタントです
- マーケティング・プロモーション等の効果測定に悩むマーケティング担当者
- 経営の意思決定をサポートする経営企画部門の方
- マーケティング勉強中の全ての方
この記事を書いているGeroge(父)は、都内在住のサラリーマン(管理職)。通勤電車のほぼ全てを読書に費やし、ビジネス書を中心に年間100冊程度の本を読んでいます。(プロフィール)。
\ それでは、いってみましょう
データ・ドリブン・マーケティングとは
そもそも、「データ・ドリブン・マーケティング」って何なの?
サラっとに言ってしまえば、
データを中心にマーケティング戦略を立案し、意思決定を行うアプローチのこと。顧客のデータや市場のトレンドなどの情報を収集・分析し、客観的なデータに基づいた戦略を展開すること
一連の流れのイメージは下の図のような感じです。黄色い部分が本書が重点的に解説している領域です。
ということなのですが、これ、“言うは易く行うは難し”……というのが正直なところ。
難しいと思うポイントは何点かあると思いますが、マーケティング施策って、
- それなりのコストを投下する割に、効果がイマイチわからない
- 意思決定を行う責任者(経営者など)への説明が難しい
- データ収集自体がおぼつかない
というようなことがよくありますよね。
著者が米国企業を対象に実施したアンケート調査においても、ほとんどの企業が多かれ少なかれこの手の課題を抱えてることがわかったそうです。
これらの課題を解決するためには、マーケティング施策の効果をしっかりと測定することが重要であるということが本書のメインテーマ。
本書では、マーケティング業務に携わる方が認識しておきたい、効果測定をしっかりと行うための15の重要指標が紹介・解説されてます。
ということで、重要指標について以下かんたんに紹介していきます。
マーケティング購買行動モデルに紐づく4つの指標
- ブランド認知率
- 試乗(お試し)
- 解約(離反)率
- 顧客満足度
こちらの4つの指標は、伝統的なマーケティング購買行動モデルの各段階で活用すべき指標として紹介されています。
マーケティングの購買行動モデルとは、消費者が商品やサービスを購入するまでの行動工程をモデル化したもの。
各段階の主なプロモーションとその効果を測定する指標の連関は以下の通りです。
一言にマーケティングといっても、顧客のどの行動にアプローチするものなのかによって、採用するべき効果測定指標は異なってきます。
例えば、自動車の場合。
様々なメーカーの車を比較・検討している段階の顧客に対して送ったDMの効果は「試乗率」などの指標で効果を測定します。
ポイントカード会員への優遇策などはロイヤルティマーケティングですが、これを測る際は「解約率」で効果を測定したりします
顧客満足度は、私たちにも身近なアンケートで測定します。
「あなたは、この商品・サービスを友人や同僚に勧めたいと思いますか?10段階で評価してください」
このほか、いわゆる販促キャンペーン等の際に共通して活用できる指標としては、“オファー応諾率”があります。
すなわち100人にDM送って何人が購入したか(もしくは試したか…)など。
インターネット関連でいえば、クリック率(CTR)なんかもこれにあたるよ
4つの重要な財務指標
- 利益 = 売上高 ー 費用
- 正味現在価値(NPV)
- 内部収益率(IRR)
- 投資回収機関
特に、需要喚起型マーケティングについては、上記のような財務指標が測定できると経営判断の観点からなお良いといえそうです。
経営者への説得力が増します。
マーケティングには費用(投資)がつきものです。財務に与える効果がはっきりしないと実施判断ができないから当たり前といえば当たり前の話
正味現在価値(Net Present Vale)は、今の100円と1年後の100円の価値は異なる。金利がある分だけ現在の価値の方が高いという考え方。よく投資やプロジェクトの収益性を評価する際に使用するよ
顧客生涯価値(CLTV) すべての顧客は等しく重要ではない
顧客生涯価値(CLTV)の定義はこちら。
“1人の顧客が将来にわたってもたらす価値のこと”
顧客の価値を測定する必須指標。CLTVは、Customer Lifetime Valueの略称。
顧客生涯価値(CLTV)は、本書で取り扱われている指標の中でも特に重要な指標です。
あらゆるマーケティング活動において、この顧客価値を考慮に入れると、企業は大きく業績を伸ばせる可能性があると著者は述べています。
例えば、DM送付による需要喚起型マーケティングを行う場合、顧客生涯価値を軸にした以下のようなフレームワークを使えば、より効果的な施策を組み立てることができます。
縦に顧客生涯価値、横に顧客の期待反応率を取ったフレームワーク。
満遍なくDM送付するのではなく、しっかりと優先順位やメリハリをつけてDM送付することにより、費用対効果の高い施策となるんですね
もう1つ、顧客生涯価値を使った戦略マトリクスで面白い!と思ったものがあるのでご紹介。
顧客セグメントはマーケティング施策を検討するにあたってまず分析するのですが、以下は、この部分に使えるフレームワークです。
顧客生涯価値と現在の利益率の2つの軸で顧客セグメンを定義し、セグメント別に採用すべき基本戦略を整理できるフレームワーク。
Dエリアの顧客は小売業であればクレーマーなどが当てはまると思いますが、ここにはコストをかけないようにする。
Aエリアは最重要なロイヤルカスタマー。取引拡大と維持を志向する。
目からウロコ。個人的には本書のハイライトでしたw
インターネット関連の指標4つ
- クリック単価(CPC)
- トランザクションコンバージョン率(TCR)
- 広告費用対効果(ROSA)
- 直帰率
- 口コミ増幅係数(WOM)
本書は2011年にアメリカで出版された本ですが、これらインターネット、SNS関連の評価指標も解説してくれています。
指標の定義などは割愛しますが、2024年現在においても連綿と受け継がれ、活用されているものばかり。本書の先見性が感じ取れますね。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は、マーケティング戦略について、具体的なデータ活用と効果測定のための指標に特化して解説した「データ・ドリブン・マーケティング」という本を紹介させていただきました。
1つ1つの指標は、一見複雑そうに見えるのですが、そのほとんどは四則演算の範囲内に収まるものばかり。
実際、本書ではエクセルを使った計数管理等が紹介されているので、すぐに実践できる内容となっている点がとても嬉しかったです。
また、本記事では紹介しておりませんが、企業の具体的な取組事例がふんだんに盛り込まれており、イメージがつきやすく、理論にとどまらない点もグッド!
アメリカ企業の事例が多いけど、日本人にも馴染みのある企業の内情も知ることができて面白いよ
さらに、データ・ドリブン・マーケティングを実践するための前提としてのデータ基盤整備に必要な考え方までカバーしてくれています。
少し前の本ではありますが、今読んでもとても参考になる良書。
社長にマーケティング予算を減らされようとしている、そこのあなた。
しっかりとマーケティング施策の効果を測定し、経営者を説得しちゃいましょうw
自信を持っておすすめできる本でした。
もっと早く読んでおけば良かったなぁ
最後まで読んでくれて、ありがとうございました〜。
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